自称 Suomen tasavalta(フィンランド語)、Republiken Finland(スウェーデン語) 英語名 Republic of Finland
人口 5,536,146人(2020年)
姓数 170,744個(2014年)Forebears による。約128,000個(1998年)『Dictionary of American Family Names』(Patrick Hanks, Oxford University Press, 2003)による。Name Article にあるフィンランドの社会保険協会のデータでは、1970年は75,862個、1985年は79,092個、1998年は127,722個だった。
特徴
「個人名(nimi)+姓(sukunimi)」の順で、個人名は三個まで許容する。話し言葉では、姓を属格にして個人名の前に置く言い方をする場合がある。これは、もともと同じウラル語族のハンガリーと同様に「姓+個人名」の順だった名残である。
フィンランド人の姓を特徴づける接辞の -nen は「~の人」を意味しており、原義は「小さな」である。-nen 姓は、東フィンランドに多く1998年の調査では約4,000姓が -nen で終わり、フィンランド語の姓の約8.6%を占めていた。人口で見ると -nen で終わる者は約47%となり、フィンランド人の約半数が -nen で終わる姓となる。
フィンランド語での他の特徴としては、子音段階で姓が変化するという点がある。
例
Mikko→Mikon
これは、個人名の子音が変化しないのと対照的である。
例
Hilta→Hiltan
結婚後の夫婦の姓に関しては、夫婦のどちらかの姓を採用するか夫婦の姓を合わせた複合姓を使用する。なお、Name Article にある1985年の統計での複合姓は14,821個で、当時の姓の約18.7%を占めていた。子供は以上のどれかの姓を選び兄弟は同じ姓を共有しなければならない。
東フィンランドと西フィンランド
東フィンランドでは、13世紀にはすでにサヴォニアの人々が姓を有していた。姓を使用したのは生涯に何度かの移動を伴う焼畑式農業により個人の区別が必要となったためである。その後、16世紀中頃には東フィンランドでの姓は世襲して固定化していくようになった。
古い東フィンランドの姓は、家族の家長の名から形成した。
例
イカヴァルコ(Ikävalko)
テルモネン(Termonen)
ペンティカイネン(Pentikäinen)
16世紀から18世紀にかけては、姓の大部分は地名から形成した。
例
プーマラ(Puumala)(地名)→ プーマライネン(Puumalainen)(姓)
東フィンランドの伝統では、女性は女性形の姓を名乗っており、19世紀までに西ヨーロッパの影響により消滅した。
例
プーマライネン(Puumalainen)(男性形) プーマラタル(Puumalatar)(女性形)
20世紀以降のフィンランドの姓
20世紀初頭においては、西フィンランドでは「農場」、または「入植地」の名から創姓した。この姓は、農場を移動するたびに変化するものだったため現在の世襲する姓とは異なる。
1921年には姓の使用を義務化しており、義務化時の典型的な姓の特徴は Ala-「~の下」か Ylä-「~の上」という接辞だった。
例
イリ・オヤンペラ(Yli-Ojanperä)
アラ・ヴェロネン(Ala-Verronen)
また、ポフヤンマー(Pohjanmaa)では Rinta-「~の下流」、Latva-「~の上流」という接辞を使用した。
同時期にあったドイツ語、スウェーデン語起源の姓は、スウェーデン語を話す上流および中流階級が使用していた。これは、都市や学術的な社会における地位を示していた。また、聖職者はラテン語の姓を採用してフィンランド語の姓を捨てた。志願兵の場合は、個人の願望と無関係に新しい姓を与えた。
政治運動として19世紀から20世紀のフィンランド化は、スウェーデンや外国の姓をもつ多くの人々をフィンランド語の姓へ変更した。特に1906年にフィンランドの哲学者で政治家の Johan Vilhelm Snellman(1806年5月12日 - 1881年7月4日)が、生誕百周年となった際には、約10万人のフィンランド人が姓をフィンランド語化している。
この時代の典型的な姓
メリオ(Meriö) Meri「海」から。
ニエミネン(Nieminen) Niemi「半島」、「岬」から。
スウェーデン語の姓をフィンランド語化
ヘルストレム(Hällström)→パーシヴィルタ(Paasivirta) 「岩の流れ」
アレクシス・ステンヴァル(Alexis Stenvall)→アレクシス・キヴィ(Aleksis Kivi)(1834年10月10日 - 1872年12月31日)小説家。
スウェーデン語での Sten「石」、vall「壁」をフィンランド語 kivi「石」とする。
フィンランド化の政治運動と同時期には、産業化が進み移動が活発になった。そのため、従来の姓を捨てて新しい姓をでっちあげた例もあった。その多くは、上流および中流階級のスウェーデン語の姓であり、一生のうちに何度も姓を変えていた。
結果として、何度も変えた姓を固定した姓を持つ人々は「過剰な名(フィンランド語:liikanimi, liika『過剰な』、nimi『名』)」と呼称した。また、後にはフィンランド語の方を好んで使用するようになり、多くは地形や自然現象から創姓した。
例
ライネ(Laine) 「波」
ヴァイニオ(Vainio) 「野原」
ヌルミ(Nurmi) 「草地」
サロ(Salo) 「木立」
フィンランド人の姓の接辞
Ala- 「~の下」
-isto
-la, -lä 「~の場所」louko の変化形。インド・ヨーロッパ祖語で「林間の空地」、「沼地」を意味する *loukoz からの借用語。
Latva- 「~の上流」。ポーヤンマーに多い。
-nen 「~の人」、「小さな」が原義。斜格の -se- からで、東フィンランドに多い。例 Miettinen - Miettisen 「Miettinen の」。
Rinta- 「~の下流」。ポーヤンマーに多い。
Ylä- 「~の上」。例 Yli-Ojanperä, Ala-Verronen
フィンランド人の姓の種類と例
民族
ルオツァライネン(Ruotsalainen) 「スウェーデン人」
サクサ(Saksa) 「ドイツ人」
スオマライネン(Suomalainen) 「フィンランド人」
ヴェナライネン(Venäläinen) 「ロシア人」
ヴィロライネン(Virolainen) 「エストニア人」
植物
マンシッカ(Mansikka) 「イチゴ」
鳥
ハラッカ(Harakka) 「カササギ」
レイヴォネン(Leivonen) 「ヒバリ」
ペイッポ(Peippo) 「ズアオアトリ」
ヴァリス(Varis) 「カラス」
クルキ(Kurki) 「ツル」
フィンランド共和国の姓ランキング(2014年)
順位 姓 人口 語源
1 Korhonen 24,143 おそらく方言で「耳が遠い人」。
2 Virtanen 23,180 「流れの人」、「川の人」。
3 Nieminen 21,269 「半島の人」、「岬の人」。
4 Mäkinen 21,124 「丘の人」
5 Hämäläinen 19,446 「フィンランドの Häme 地方の人」
6 Mäkelä 19,163 「丘」
7 Laine 18,513 「波」
8 Heikkinen 18,442 英語での Henry のフィンランド語形で「家長」を意味する個人名 Heikki から。「家長の人」。
9 Koskinen 17,715 「急流の人」、「早瀬の人」。
10 Lehtonen 16,899 「茂みの人」。
11 Järvinen 16,715 「湖の人」
12 Lehtinen 15,690 「葉の人」。
13 Saarinen 15,081 「島の人」。
14 Salminen 14,853 「通りの人」。
15 Heinonen 14,838
16 Heikkilä 14,561
17 Niemi 14,424
18 Salonen 14,184
19 Laitinen 14,021
20 Turunen 13,800
21 Kinnunen 13,471
22 Tuominen 13,093
23 Savolainen 13,060
24 Salo 13,037
25 Rantanen 12,834
26 Jokinen 12,708
27 Miettinen 12,692
28 Mattila 12,534
29 Karjalainen 12,285
30 Räsänen 11,531
31 Ahonen 11,257
32 Lahtinen 11,128
33 Pitkänen 10,798
34 Hiltunen 10,662
35 Ojala 10,461
36 Leppänen 10,399
37 Aaltonen 10,357
38 Leinonen 9,949
39 Kallio 9,881
40 Väisänen 9,876
41 Anttila 9,851
42 Mustonen 9,805
43 Hakala 9,759
44 Laaksonen 9,739
45 Manninen 9,496
46 Koivisto 9,367
47 Lehto 9,297
48 Laakso 9,292
49 Hirvonen 9,204
50 Toivonen 9,114
51 Kettunen 9,057
52 Hartikainen 9,015
53 Nurmi 8,923
54 Niskanen 8,893
55 Aalto 8,808
56 Partanen 8,774
57 Peltonen 8,764
58 Rantala 8,758
59 Lappalainen 8,524
60 Pulkkinen 8,344
61 Niemelä 8,331
62 Rissanen 8,282
63 Seppälä 8,271
64 Saari 8,177
65 Kauppinen 8,173
66 Hakkarainen 7,984
67 Hänninen 7,925
68 Huttunen 7,828
69 Seppänen 7,710
70 Moilanen 7,705
71 Salmi 7,687
72 Suominen 7,661
73 Koskela 7,550
74 Halonen 7,475
75 Kemppainen 7,467
76 Lahti 7,462
77 Mikkonen 7,404
78 Peltola 7,390
79 Parviainen 7,379
80 Kärkkäinen 7,361
81 Ikonen 7,350
81 Leskinen 7,350
83 Aho 7,338
84 Ahola 7,335
85 Koponen 7,293
86 Pesonen 7,245
87 Oksanen 7,140
88 Vainio 7,043
89 Lindholm 6,969
90 Heiskanen 6,928
91 Vuorinen 6,915
92 Johansson 6,855
93 Rautiainen 6,844
94 Mikkola 6,843
95 Toivanen 6,830
96 Karppinen 6,759
97 Nurminen 6,710
98 Koski 6,655
99 Immonen 6,647
100 Honkanen 6,531
出典
http://forebears.co.uk/finland#surnames
スウェーデン系フィンランド人の姓ランキング(2003年)
順位 姓 人口 語源
1 Johansson 7,438 「Johan の子」
2 Lindholm 7,077 「菩提樹の島」
3 Nyman 7,000 「新参者」
4 Karlsson 6,174 「Karl の子」
5 Lindström 5,859 「菩提樹の流れ」
6 Andersson 5,300 「Ander の子」
7 Eriksson 5,220 「Erik の子」
8 Lindroos 4,623 「菩提樹とバラ」
9 Lindqvist 4,546 「菩提樹の枝」
10 Lindberg 3,995 「菩提樹の山」
出典
https://eo.wikipedia.org/wiki/Listo_de_plej_oftaj_familiaj_nomoj#Finnlando
フィンランド在住の外国人の姓ランキング(2001年)
順位 姓 人口 民族
1 Nguyen 1,018 ベトナム人。
2 Mohamed 679 アラブ人。
3 Tran 617 ベトナム人。
4 Ali 540 アラブ人。
5 Ahmed 422 アラブ人。
6 Hassan 316 アラブ人。
7 Pham 270 ベトナム人。
8 Ivanov, Ivanova 256 ロシア人。
9 Abdi 251 アラブ人。
10 Singh 227 インド人(シーク教徒)。
出典
Name Article
参考
『世界の言語ガイドブック1 ヨーロッパ・アメリカ地域』(東京外国語大学語学研究所編、三省堂、1998)
Finnish name
http://en.wikipedia.org/wiki/Finnish_name
Category:Surnames of Finnish origin
https://en.wikipedia.org/wiki/Category:Surnames_of_Finnish_origin
Category:Finnish-language surnames
https://en.wikipedia.org/wiki/Category:Finnish-language_surnames